トネリコスプラウト。


おはなしの森の裏庭は

トネリコの木が生えています。



花の季節には

クマバチがBububu…Bubububu…と

枝を揺らしながら花粉を集めます

(クマバチの羽音は、

庭の反対側にいても聞こえます。

名前の通り、体がおおきく

むくむくと毛深い蜂ですが、

礼儀正しく接している限り

おそいかかっては来ません)。



花の後には実がなって、

それはとりもなおさず“種”なのですが

トネリコの種は稲穂のように

たくさん、たくさんなります。



種はやがて、地面に落ちます。

ただ、発芽するのは

せいぜい一つか二つといったところ。



ところが今年は、

事情が違いました。






小さな

双葉が

そこかしこに

あらわれたのです。






トネリコの木の下を中心に

密集して生えています。






落ちたすべての種が

ーーよし、今年は発芽するぞ。

と、決意したかのようです。






今年の気象条件が

トネリコの発芽に

ぴったり合っていたのでしょうか。



まるで

スプラウトのように

びっしり

みっしり

生えそろっています。