六月の詩『森の小鳥 / ジェイムズ・リーヴス』(「ライラックの枝のクロウタドリ」より)


 森の小鳥
       
 森の小鳥はうたいます 緑の草地を
 岸辺にプリムローズが咲いている
 小さな池のことをうたいます

 森の小鳥はうたいます 陽のさす庭を
 花の香りがみち満ちる
 夜の庭のことをうたいます

 森の小鳥はうたいます 水が流れおちるさま
 お姫様の波うつ髪が
 流れるような滝のことをうたいます

 森の小鳥はうたいます 遠い国々を
 波が泡立つ砂浜の
 海の向こうの山々をうたいます

 はるか遠くの山の上 そのてっぺんに町があり
 灰色ひげの魔術師が
 金の冠をかぶって座ってる

 森の中 高い木々の梢にとまり
 小鳥たちが うたうのは
 どの歌もみな
 この年とった 魔術師が教えてくれたもの

          
 詩集『ライラックの枝のクロウタドリ』より
 ジェイムズ・リーヴス 詩
 エドワード・アーディゾーニ 絵
 間崎ルリ子 訳    こぐま社