みみをじっとすませて
雨の気配があると、どこからか、カエルの鳴き声が聞こえます。ちいさな、緑色のアマガエルです。裏庭のヤツデや、睡蓮鉢のあたりでよく見かけます。ナンキンハゼや、リンゴにとまっていることもあり、木のぼりも上手なようです。おどろいたのは、大きなトゲのあるナニワノイバラの枝に座っていた時のこと。うっかりひっかかって、動けないでいるのではないかと、心配したものです。
家の近くに田んぼがあれば、雨のころには大合唱が聞こえるのかもしれません。いきものがめざめた季節は、さまざまな音に満ちています。笛のように高い音で、ピーパパパ・ピララーと歌っているのは、イソヒヨドリ。ジルジル、グジュグジュ鳴いているのはツバメ。ナンキンハゼの葉は風に揺れるとササーッとざわめきますし、地面の落ち葉は走って、カサコソ音を立てます。
絵本の舞台は、あめあがりの、もりのなかのいけ。どんな音が、聞こえるのでしょうか。
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『いけのおと』
松岡達英/作
福音館書店
¥800+税