≪虎づくし≫ROAR!!! 『おちゃのじかんにきたとら』『西瓜糖の日々』『クローヴィス物語』
紫の五人姉妹。
浴衣の色のようで
目に涼しげです。
暑い日が続きます。
わーっと、
大きな声を
出してしまいそう。
でも、
そんなことをしたら
みんなびっくりします。
猛々しい虎にでも
代わりに吠えてもらおうか、と
水墨画を見てみれば
なんだか猫みたいに
むくむくしている。
丸山応挙の虎などもそうですが、
当時は毛皮や猫を参考に
虎を描いていたそうです。
なので、あんまり強そうじゃありません。
この絵本に出てくる虎も
強そうじゃありませんし、
実際かわりものです。
『おちゃのじかんにきたとら』
作/ジュディス・カー
童話館出版 定価(1,400円+税)
うっとり微笑んでいるこのとらは、
おなかがぺっこぺこ。
ティータイムの支度をしている
ソフィーとお母さんのところにやってきて
こう言います。
――お前たちを食ってやる……!
ではなく
――ごめんください。お茶にご一緒させていただけません?
と。
はらぺこのとらは、
礼儀正しくお茶会に加わり、
テーブルの上はもちろん、
家中の食べ物を食べつくしてしまいます。
さあ、どうなるでしょうか。
☆
この本に出てくる虎は、
礼儀正しくひとを食べてしまいます。
『西瓜糖の日々』
作/リチャード・ブローティガン
河出文庫 821円
名前のないわたしが生きるのは、
“iDeath(アイデス)”と呼ばれる場所。
そこにあるものはすべて西瓜糖からできていて、
言葉を話せる虎がいる。
そして、外側にあるのは“忘れられた世界”。
何をするにもうんざりする
夏の暑い午後にも
時間を忘れてページをめくることが
できる本です。
虎たちは本当に礼儀正しく
わたしの両親を食べてしまいますが
(おまけに、算数まで教えてくれる)
西洋では虎狩りというものが
たいへん流行した時代がありました。
『クローヴィス物語』
作/サキ
白水社 1,404円
本名ヘクター・ヒュー・マンロー、
イギリスの作家サキによる短編集です。
タイトルになっているのは、
いたずら好きで天才的に頭の回転がよい
青年クローヴィス。
彼が語ればどんな出来事も
耳目を集める逸話になり、
彼が関わればどんな出来事も
喧々囂々の大事件になってしまいます。
この本に出てくる虎は、
『ミセス・パクルタイドの虎』。
狩猟の腕自慢をもくろんだミセス・パクルタイドが
思いがけなく足をとられる皮肉な短編です。
『丘の上の音楽』には
現実と虚構の狭間にすべりおちる
映像的な魅力がありますし
『運命の猟犬』は
文章ならではの想像力が生み出す
ぞっとする怖さがあります。
エドワード・ゴーリーの挿絵も
作品の雰囲気にぴったり。
(クローヴィスが桃の種で苛めた
男の子の顔と言ったら……)
ぜひ、ご一読ください。
序文を書いているのは、
A・A・ミルン。
氏の作品『クマのプーさん』には
虎のティガーが出てきますね!
≪参加者募集のお知らせ≫
おはなしの森では、
絵本に登場するキャラクターの人形を作る会を
定期的に設けています。
前回はぐりとぐらを作りました。
9月は、エルマーのりゅうを作ります。
材料はフェルトにリボン。
カラーもシルエットも、
まさにボリス。
参加をお考えの方は、
お気軽にスタッフにおたずねください。
≪夏の子ども手づくり教室のお知らせ≫
●やさしく風にゆれるモビール
ヒンメリを作りましょう。
7月30日(木)
10:30~12:00
定員 6名
講習費 500円
光のモビールと呼ばれるヒンメリは、
フィンランドの伝統的なつるし飾り。
麦わらに一筆書きのように糸を通し、
立体的に立ち上がった幾何学模様は
とても綺麗です
今回は涼しげな色合いの
ポリエステルのストローを使って作ります。
著/おおくぼともこ
プチグラパブリッシング 2,052円
●顔がとび出す
小さな絵本を作りましょう
8月11日(火)
10:00~13:00
定員(小学生対象) 6名
講習費 1200円
四場面で、四つの顔がとび出す折りたたみ絵本です。