静かな町。 フィリパ・ピアス『トムは真夜中の庭で』


日曜日の朝は

たいてい普段より静かなものですが、

とくに連休で人がいないとあって

ぽかんとした静けさにつつまれていました。



タゴールの詩を一つ、

ご紹介します。



"I HAVE lost my dewdrop,"

cries the flower to the morning sky

that has lost all its stars.


「あたし、露のしずく、なくしちゃった、」

と花が大声でいう、

すべての星を失くした夜明けの空に向かって。 


――Rabindranath Tagore
  『迷い鳥』風媒社





この週末は三連休。

明日20日(祝・海の日)は

営業していますので、

どうぞ遊びにいらしてください。



連休のはじまりは

台風のしっぽが

列島にひっかかっていました。



京都の鴨川は濁流で

貴船の川床も残念ながら仕舞われて

がっかりした人も多かったとか。



今日はどうでしょうか。



旅先に文庫は運びよく、

涼しい家の中で寝ころんで読むにも

腕に負担がかかりません。



今日は、この本をおすすめします。






トムは真夜中の庭で
作/フィリパ・ピアス
岩波少年文庫 定価(720円+税)



不思議の世界の入り口は、

どこにあるのでしょう。


いつもそこにあって、

気づかない私たちを面白がっているのか、

ある条件のもとでのみ開かれて、

その時だけ私たちを誘うのか。



ここではないどこかに

迷い込むおはなしが、好きです。



はじめからここではない場所で

はじまるおはなしも好きですが、

(ダイアナ・ウィン・ジョーンズの

魔法世界ダークホルムとか……)

ここからどこかへ、というのは

もっと、好きです。



きっと、

旅行に出かけるような

わくわくした気持ちが

生まれるからでしょう。



トムは真夜中の庭で』もまた

ここではないどこかに

誘い込まれるおはなしです。



そこは全くの異世界でなく、

ここでありながらここではない場所。

過去の時間が、このおはなしの

どこかです。



その入り口は

時計が13打った時に開きます。



オススメです。






パイナップルリリーこと

ユーコミス・プンクタータは

その学名“美しい髪の毛(ユーコミス)”を知ると

どこか人の姿に見えてくるから不思議です。



参加者募集のお知らせ



おはなしの森では、

絵本に登場するキャラクターの人形を作る会を

定期的に設けています。


前回はぐりとぐらを作りました。


9月は、エルマーのりゅうを作ります。






材料はフェルトにリボン。

カラーもシルエットも、

まさにボリス。






参加をお考えの方は、

お気軽にスタッフにおたずねください。



≪夏の子ども手づくり教室のお知らせ≫


●やさしく風にゆれるモビール

 ヒンメリを作りましょう。





7月30日(木)

10:30~12:00 

定員 6名

講習費 500円


光のモビールと呼ばれるヒンメリは、

フィンランドの伝統的なつるし飾り。

麦わらに一筆書きのように糸を通し、

立体的に立ち上がった幾何学模様は

とても綺麗です


今回は涼しげな色合いの

ポリエステルのストローを使って作ります。



フィンランドの伝統装飾 ヒンメリ
著/おおくぼともこ
プチグラパブリッシング 2,052円


●顔がとび出す

 小さな絵本を作りましょう





8月11日(火)

10:00~13:00 

定員(小学生対象) 6名

講習費 1200円


四場面で、四つの顔がとび出す折りたたみ絵本です。


家族、動物、妖怪……四つの横顔を考えてきてくださいね。