♫♪♬フランスみやげ、やさしいその音色よ。アマリリス観察日記。
月日を遡ること、
先々月の4月18日。
森の読書猫ちびのモリーは
庭で不思議な植物の芽を見つけました。
――爪みたい。
――これ、なに?
モリーが森太郎に訊ねると、
――アマリリス、だと思う。
森太郎は言いました。
――たしかめてみる。
と、モリーは言いました。
つまり、観察をはじめることにしたのです。
爪みたいだった葉っぱは
どんどん伸びて
落書きのカモメみたいに
なりました。
そして、5月20日。
ひょっこりつぼみが出てきました。
5月26日
つぼみがぐんぐんのびています。
5月29日
つぼみの先が分かれました。
――ふたつ……みっつかな。
モリーは、わくわくしてきました。
5月31日
花の数は、二つとわかりました。
つぼみの先が赤く染まっています。
同日、夕方。
ふたつのつぼみが、左右に開きました。
ゆっくり、ゆっくり
動いていたのでしょう。
おどろきの変化です。
6月1日
つぼみが開きました。
おしべが綺麗に並んでいます。
――がんばれ。
モリーはじっと見守ります。
6月2日
太陽のよく当たる東側の花が
先に咲くようです。
――満開まで、あと少し。
森太郎も見守ります。
そして、6月4日。
満開になりました。
――白い線が、はいってるね。
モリーと森太郎はアマリリスの歌をうたって、
おいわいのかわりにしました。