ナメクジは自由を求めて進化した?三輪一雄『ガンバレ!!まけるな!!ナメクジくん』偕成社。
……雨はどこへ?
アジサイが不思議そうに
空を眺めています。
前庭のチェッカーベリーには
花が咲きました。
実がなるのが楽しみです。
この花はナスタチューム。
黄色やオレンジの花が咲き、
丸い葉っぱはとってもかわくて、
しかもサラダにして食べられます。
ところが、
このナスタチュームは
森の裏庭から姿を消します。
その理由は……。
『ガンバレ!!まけるな!!ナメクジくん』
作/三輪一雄
偕成社
定価(1000円+税)
ナメクジが食べてしまったのです。
ナスタチュームはナメクジの大好物。
溶けるように消えてしまいました。
庭仕事の天敵ともいえる
ナメクジ。
箸でつまんで捨てられたり、
塩をまかれて退治されたり。
園芸家はこの“害虫”を
植物から遠ざけようと必死です。
でも、ナメクジからしたら
理不尽かもしれません。
……似たようなカタツムリは、こんなに嫌われてないのに。
『ガンバレ!!まけるな!!ナメクジくん』は
ナメクジの視点から描かれた
ナメクジにエールをおくる絵本です。
書きだしはこう。
カタツムリのカラをとると、
ナメクジになるの?
答えは簡単。
なりません。
ですが、
カタツムリにはうずまきの家があり、
ナメクジにはない理由が
存在しているようなのです。
読後にナメクジを愛することが
できるかどうかはわかりませんが
ただの嫌われものから
“愛すべき……嫌われもの”として
興味をもつことはできそうです。
ぜひ、ご一読を。