クロタネソウの変身。森の裏庭フルーツビュッフェ、ジューンベリーは完売です。大野八生『庭のたからもの』小学館
昨夜は大嵐でした。
森の読書猫ちびのモリーは
キッチンの窓から
びかびか光る空を見ていました。
ジューンベリーの木は大風に揺さぶられて
枝も葉っぱもしっちゃかめっちゃかです。
――メジロが来る前でよかったなぁ。
ちびのモリーは、つぶやきました。
去年、
森のジューンベリーに
メジロが巣をかけたのです。
ちびのモリーは
今年もメジロがやってくると
信じているみたい。
ジューンベリーの実は
ムクドリたちのごちそうになって
ほぼ完売。
食いしんぼさんたちが去って
静けさがもどったら
メジロはやってくるでしょうか?
『庭のたからもの』
大野八生
小学館
定価(1,350円+税)
すっきりとした線で描かれた植物が
生き生きとしたイラストレーション。
植物に深い親しみを持つ著者が
身近な自然――庭、街路樹、公園
について、楽しむヒントを教えてくれます。
≪夏の収穫を楽しむベリーガーデン≫には
ジューンベリーも登場。
これからの季節に楽しめそうな
≪真夏の夜にかおる花たち≫には
付箋をつけておきたいですね。
ただ植物の名前をしるだけではなく、
楽しみ方や、成長のしくみについても
しることができます。
森の庭のあちこちから生えてくる
クロタネソウ。
青い花は涼やかですが、
その期間はとても短くて
あっという間に姿を変えます。
深海の生物みたいな
ユニークな形です。
茶色くからからに乾くと
中には名前の通り
“黒い”小さな種が入っていて
こぼれ種でどんどん増えていくのです。