今月の詩 石津ちひろ『あめ』

あめ

石津ちひろ





ぼくのまどに

あめがふる



ぽつぽつふると

さびしくて



ぱらぱらふると

きもちよく

ざあざあふると

みんなわすれる



きみのまどにも

あめよふれ


『あしたのあたしはあたらしいあたし』
石津ちひろ/詩
大橋歩/絵
理論社


***



雨が降ると、庭のどこかで

カエルが鳴き始めます。

庭の隅で豌豆を育てていた頃には

一度その姿を見かけました。

きれいな緑のアマガエルです。



カエルの姿を見てからというもの、

心にあるのはひとつのことで、

……おたまじゃくしが、見たいなあ。

ということ。

……なら、そのための環境がいる。

と、庭に水場をいくつか設けました。






そして、六月も末に

指先の節ひとつくらいの大きさの

小さなアマガエルがあらわれました。



緑の多い区画ですので

森の庭でうまれたカエルでは

ないかもしれませんが

それほど遠くはない場所で

うまれたカエルであることは

きっと間違いないでしょう。



いのちのある宝石のような

うつくしい生き物。



雨が降るごと

カエルの声に

耳をすませる季節です。