はじめに生まれたのは歓びの霊である。 片山廣子『新編 燈火節』



街路樹の葉っぱは散り、

道のスタンプになりました。






今日は、

或る国のこよみを

引用します。




はじめに生れたのは歓びの霊である、

この新しい年をよろこべ!

一月  霊はまだ目がさめぬ

二月  虹を織る

三月  雨のなかに微笑する

四月  白と緑の衣を着る

五月  世界の青春

六月  壮厳

七月  二つの世界にゐる

八月  色彩

九月  美を夢みる

十月  溜息する

十一月 おとろへる

十二月 眠る


このこよみは、
片山廣子著『燈火節』(月曜社)に

ケルトの古い言い伝えとして

紹介されています。



著者は

このこよみを

自然を読み解いたものとし、

かの地の自然観を推察するとともに

この詩に登場する色彩と

日本の古歌の色彩と引き比べ

古い昔の色を懐かしみ、

近しさを感じると述べています。





片山廣子は、

NHK朝の連続ドラマ『花子とアン』の主人公であった

村岡花子さんの東洋英和女学校の先輩にあたる

アイルランド文学の研究者であり、歌人です。



村岡花子さんとも

交流がありました。




ドラマに登場することも

あるのだろうか……と

ひそかに楽しみにしていましたが

あいにくこれはなかったようです。








新編 燈火節
著/片山廣子
月曜社 定価(1600円+税)



冬におすすめの

一冊です。


解説は梨木香歩さんです。