しまもようのおじさんねこ、家出する。

 


しまもようのねこが、じっとこちらを、にらみつけています。ねこのホレイショです。しんせつなケイシーさんという女の人と暮らしています。すてきな家があって、専用のベッドもあって、おいしいごはんも食べられるのに、ホレイショはどうして、こんなにふきげんな顔をしているのでしょうか。


それは、ケイシーさんのしんせつさに、ホレイショがうんざりしているからなんです。ケイシーさんは、まいごのいぬを放っておきません。隣人のうさぎもあずかります。けがをしたはとだって世話をします。おまけに、おとなりの子どもたちが家に遊びに来るのを許してしまうのです。ホレイショは、立派なおとなのねこです。そんけいされて、静かに暮らしたいのです。


うんざりしきったホレイショは、ある日、家を出ます。町には車がたくさん走っているけれど、たべものはありません。ホレイショはもちまえのがんこさと、おじさんねこらしい知恵で町のきけんをのりきります。家には戻りません。ですが、意地をはりつづけることが、むずかしくなるような、思いがけない出会いがホレイショを待っていました。


その出会いが、ホレイショをだんだん、変えていきます。


***

『ねこのホレイショ』

エリナー・クライマー/文

ロバート・クアッケンブッシュ/絵

阿部公子/訳

こぐま社 ¥1000+税