しまもようのおじさんねこ、家出する。
しまもようのねこが、じっとこちらを、にらみつけています。ねこのホレイショです。しんせつなケイシーさんという女の人と暮らしています。すてきな家があって、専用のベッドもあって、おいしいごはんも食べられるのに、ホレイショはどうして、こんなにふきげんな顔をしているのでしょうか。
それは、ケイシーさんのしんせつさに、ホレイショがうんざりしているからなんです。ケイシーさんは、まいごのいぬを放っておきません。隣人のうさぎもあずかります。けがをしたはとだって世話をします。おまけに、おとなりの子どもたちが家に遊びに来るのを許してしまうのです。ホレイショは、立派なおとなのねこです。そんけいされて、静かに暮らしたいのです。
うんざりしきったホレイショは、ある日、家を出ます。町には車がたくさん走っているけれど、たべものはありません。ホレイショはもちまえのがんこさと、おじさんねこらしい知恵で町のきけんをのりきります。家には戻りません。ですが、意地をはりつづけることが、むずかしくなるような、思いがけない出会いがホレイショを待っていました。
その出会いが、ホレイショをだんだん、変えていきます。
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『ねこのホレイショ』
エリナー・クライマー/文
ロバート・クアッケンブッシュ/絵
阿部公子/訳
こぐま社 ¥1000+税