4月の詩『いる』谷川俊太郎

 


ぼくはしてる
なにかをしてる
でもそれよりまえに ぼくはいる
ここにいる

ねむっていてもぼくはいる
ぼんやりしててもぼくはいる
なにもしてなくたってぼくはいる どこおかに

きはたってるだけでなにもしてない
さかなはおよいでいるだけでなにもしてない
こどもはあそんでるだけでなにもしてない
でも みんないきて「いる」

だれかがどこかにいるのっていいね
たとえとおくにはなれていても
いるんだ いてくれてるんだ
とおもうだけでたのしくなれる

『ぼくはぼく』
谷川俊太郎 詩
童話屋