五月の詩『いる』谷川俊太郎

 

ぼくはしてる
なにかをしてる
でも それよりまえにぼくはいる
ここにいる

ねむっていてもぼくはいる
ぼんやりしててもぼくはいる
なにもしてなくたってぼくはいる どこかに

きはたってるだけでなにもしてない
さかなはおよいでいるだけでなにもしてない
こどもはあそんでるだけでなにもしてない
でもみんないきて「いる」

だれかがどこかにいるのっていいね
たとえとおくにはなれていても
いるんだ いてくれてるんだ
とおもうだけでたのしくなる


『こどもあそびうた』
谷川俊太郎/詩
童話屋