4月の詩 高木あきこ『桜の木の下で』理論社

 


風の日

満開の桜の木の下で

両手を枝みたいに すくっと上げると

たえまなく降りかかってくる花びら

ふりふり ふるふる ふれふれ

ふりふり ふるふる ふれふれ……


歌のように 呪文のように

ゆっくり口ずさんでいると

声まできれいな響きになって

ふりふり ふるふる ふれふれ

ふりふり ふるふる ふれふれ……


年老いた古い桜の木

今年も こんなに

みごとに咲いてくれて ありがとう

桜ふぶきのやさしい時間を ありがとう


『どこか いいところ』

高木あきこ 詩集

理論社