四月の詩 『花の名』新川和江

花の名

もも
ゆきやなぎ
みつばつつじ

花の名をいうときには
この春やっと
ひらがなを覚えたちいさな妹が
やわらかな鉛筆で
一字かいては
うれしげににっこりするように
わたしは発音するのです

えにしだ
こぶし はなみずき
そして さくら…


詩/新川和江
『いつも どこかで』
大日本図書



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