今月の詩『かきの実』与田準一

 



つゆが しもに変わり
しもは 朝ごとに白くなる

村のかきの実は 赤くうれ
赤く 赤くうれ
ひくい枝から だんだんへっていく

空は一日 青くすみ
青く 青くすみ
からすの むれが
ごまを まいたように飛ぶ

そんな 日が 続き
同じような日が 続き
こずえに残されたかきの実 一つ

実は 赤く光り
赤く 赤く光り
冬が来た 信号燈のように
村でいちばん早く 朝日をあびる

『ゆめみることば』
教育出版センター


詩集の タイトルには

はっと 心をうばわれるものが

多いように 思います。


それはきっと 詩人たちが

ことばをよく 

知っているからでしょう。




ことばの持つ ちからを

これまで以上に 深く 

考えるようになった いま

ゆめみることば というタイトルに

希望を 抱きます。


霜月に なりました。

今月も よろしくお願いします。