今月の詩 デ・ラ・メア詩『深く澄んだ目が二つ』瀬田貞二訳





深く澄んだ目が二つ


デ・ラ・メア詩
瀬田貞二訳


深く澄んだ目が二つ
耳が二つ 口が一つ 鼻が一つ
つかむ手の指が 十
動く足の指が 十
手が二つ 腕が二つ
足が二つ 脚が二つ
そして心臓が 一つ
この心臓から愛がほとばしります


目が耳にいいます
聞け
耳が目にいいます
見よ
口が鼻にいいます
かげ
鼻が口にいいます
かぎますよ
心が頭にいいます
おどろけ
頭が心にいいます
考えよ


腕と手
脚と足は
働き あそび 立って歩きます
そして蜜のように甘い口の
しなやかな小さい舌は
南北に歯を立て並べて
ひたすらしゃべり しゃべり しゃべりまくります


『幼い子の詩集 パタポン①』
童話屋