6月の詩『こどものころにみた空は』工藤直子





ひとはみな

みえないポケットに

こどものころにみた空の ひとひらを

ハンカチのように おりたたんで

入れているんじゃなかろうか



そして

あおむいて あくびして

目が ぱちくりしたときやなんかに

はらりと ハンカチがひろがり



そこから

あの日の風や ひかりが

こぼれてくるんじゃなかろうか



「こどものじかん」というのは

「人間」のじかんを

はるかに超えて ひろがっているようにおもう

生まれるまえからあって

死んだあとまで つづいているようにおもう


『こどものころにみた空は』
工藤直子/理論社


ジューンベリーの実がみのり

森の裏庭は小鳥の声が響いています。

雨の前にはアマガエルが歌って

朝にはキジバトが散歩し

宵にはイソヒヨドリがさえずる季節。

どうぞ森にお越しください。

今月もどうぞよろしくお願いします。